大腸がんだと気づくきっかけは?
大腸がんの場合、早期に見つけて治療することが、治療後の結果に大きな影響を与えます。
ここでは、早期発見に繋がるサインについて解説します。
便潜血検査
便潜血検査は、健康診断などで行われる大腸がんの早期発見に役立つ検査です。大腸がんのスクリーニング検査のために広く用いられており、微量の出血も検出可能です。ただし、大腸がんが必ずしも出血を伴うわけではないため、陽性でなかったとしても注意が必要です。
血便
大腸がんでは、がん組織が栄養を確保するために新生血管を形成しますが、これらは非常に脆いため、便の通過によって簡単に損傷し、出血することがあります。その結果、血便が発生することが多いです。血便が見られた場合は、大腸がんの早期発見のためにも、ぜひ内視鏡検査を受けましょう。
腹痛
大腸がんは、特に下行結腸、S状結腸、直腸に発生した場合、便の通過障害により腹痛や嘔吐を引き起こすことがあります。また、盲腸や上行結腸、横行結腸などでは、便がまだ固形化していないため、はっきりと腹痛が現れないケースもあります。
腹痛は他の病気でも起こり得るため、痛みが持続する場合はぜひ当院で診察を受けるようにしましょう。
貧血
大腸がんによって出血が長期間続いた結果、貧血を引き起こすことがあります。貧血の症状としては、ふらつきやめまいが挙げられ、これらの症状が大腸がんの発見に繋がることもあります。特に、女性は貧血を体質や食生活の問題と見過ごすことが多いですが、貧血が持続する場合は、大腸がんの可能性を考慮して当院へご相談ください。
体重減少
大腸がんに限らず、がんは体内のたんぱく質や脂肪を分解し、食事や運動の習慣に変化がなくても体重の減少を引き起こすことがあります。特に、心当たりもなく3kg以上の体重減少が1カ月以内に見られた場合は、がんの可能性があるため、ぜひ当院へご相談ください。
腸閉塞
大腸がんが進行すると、腫瘍によって腸の通過が妨げられ、腸閉塞を引き起こすことがあります。この場合、腹痛や嘔吐といった症状を伴い、重症化すると緊急手術が必要になる可能性もあります。
便秘と下痢を繰り返す
大腸は、食べ物のカスに残った水分を吸収して便を作る役割を担っています。そのため大腸がんが進行すると、大腸の水分吸収機能が炎症により低下し、下痢を引き起こすことがあります。便秘と下痢を繰り返す場合は、病気の早期発見のためにも、速やかに当院へご相談ください。
大腸がんとは
大腸がんは日本でのがん死亡原因の上位(女性:1位、男性:3位)にあり、特に日本人は、S状結腸や直腸が発生部位として多いとされています。大腸がんは大腸ポリープから発生することが多く、早期発見と治療が可能な場合は、高い完治率が期待できます。
ただし自覚症状が現れることは少ないため、40歳以上の方は症状がなくても、定期的に大腸カメラ検査を受けていただくことが望ましいです。食生活の変化や高齢化も罹患率の増加に影響しており、早期発見による治療が重要視されています。
大腸がんの原因
大腸がんの発症は、喫煙、飲酒、肥満などの生活習慣や、加工肉や赤肉の摂取、家族歴と関連があります。
特に食生活の欧米化は、国内での大腸がん死亡者数の増加に影響していると考えられています。また、運動不足や食物繊維の不足もリスクを高める要因です。
予防として、健康的な食事と生活習慣の維持、定期的な健康診断が大切です。
リスクが気になる場合は当院にてぜひ、検査をお受けください。
大腸がんの症状
- 便潜血検査で陽性反応が出た
- 便の形状が細長くなる
- 腹痛を繰り返す
- 腹部の膨満感
- 下痢と便秘が交互に繰り返される
- 排便した後なのにトイレに行きたくなる
- 体重の減少
- 慢性的な吐き気や嘔吐
- 貧血症状がある
- 残便感がある
大腸がんは初期には症状が現れにくく、また血便は見過ごされがちです。恥ずかしさから受診されない方や、痔だと勘違いされるケースも多く、自己判断は禁物です。
大腸がんは進行すると便通障害や腹痛、貧血などの症状が出ることがあります。便潜血検査の結果が陽性だった場合や、血便が見られた場合は、大腸がんの可能性を考慮して、ぜひ当院へご相談ください。
早期発見のために
大腸がんの検査を受けましょう
大腸がんの可能性がある場合には、下記の検査を受けていただきます。
大腸カメラ検査
大腸がんのリスクがある場合、大腸カメラ検査を受けていただきます。この検査では、がん化する可能性のあるポリープを発見し、必要に応じて切除することが可能です。
検査では大腸の全範囲を観察し、病変が見つかればその場で組織を採取して病理検査を行います。不安や痛みを和らげるために、鎮静剤や鎮痛剤を使用することも可能です。
便潜血検査
便潜血検査は、便中の血液の有無を確認する検査です。手軽に実施できるため、大腸がんのスクリーニング検査として広く用いられています。しかし、血液が検出されない(陰性)結果であっても、大腸がんやポリープ、その他の疾患が存在しないことを保証するものではありません。
一方で、血液が検出された(陽性)場合は、より詳細な大腸カメラ検査を行う必要があります。あくまで初期のスクリーニング検査に過ぎず、確定診断には至りません。
大腸がんの判定・治療方針を決定するために必要な検査
注腸検査
バリウムを用いて大腸を膨らませ、X線で撮影し、腸の狭窄や腫瘍の有無をチェックします。
腹部エコー検査
大腸がんの発見ではなく、がんの進行度や転移の有無を判断するために実施します。
腹部CT・MR検査
大腸カメラ検査とよく併用される検査です。大腸がんの転移など、総合的な診断に有効とされます。
大腸3D-CT検査
大腸カメラ検査を行うのが難しい場合に実施されます。内視鏡検査で確認できる情報に近い3D画像を得て、診断をつけます。大腸カメラ検査と比べて、下剤の量が少ないというメリットがあります。
腫瘍マーカー検査
血液や尿中の腫瘍マーカーを測定します。がんの診断の補助として行ったり、治療効果の確認、再発・転移の有無を調べたりすることが可能です。
大腸がんの治療
大腸がんの進行度に応じた治療を実施します。
早期大腸がん・
ポリープの場合
早期大腸がんの治療
早期大腸がんは、がんの大きさやリンパ節転移のリスクに応じて、内視鏡治療または外科手術を行います。15mm以下の小さながんは大腸カメラ検査中に切除可能ですが、それ以上の場合はESD治療が必要です。その場合は入院治療となります。
病理検査でリンパ節転移のリスクが見られる場合、さらに外科手術を追加します。
日帰り大腸ポリープ切除
大腸カメラ検査で見つかったポリープは、日帰り手術で切除できます。この処置は短時間で完了し、通常は痛みを伴いません。ただし、手術後は数日間の活動制限があり、出血や穿孔などの合併症に注意が必要です。
治療が難しい場合は、専門の医療機関へご紹介します。
進行した大腸がんの場合
進行性大腸がんの治療は、がんの深さや転移の有無に応じて、外科手術、化学療法、放射線治療などを行います。
遠隔転移がない場合は手術が可能で、再発予防のため化学療法が併用されることもあります。転移がある場合は、手術が行われることもありますが、不可能な場合は化学療法でがんの進行を抑制します。
大腸がんの余命・生存率
がんの治療効果を示す「生存率」は、がんであると診断されてから、一定期間生存している割合を意味します。大腸がんの場合、ステージIの相対5年生存率は94.5%、ステージIIは88.4%、ステージIIIは77.3%、ステージIVは18.7%と報告されています。
なお、これらの数値は、他の原因での死亡を除外したもので、患者様お一人おひとりの予後を具体的に示すものではありません。