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過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は
精神的なストレスが原因?

過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスが主な引き金となり、緊張や不安などの心理的要因によって自律神経のバランスが崩れることで発症します。感染性腸炎から回復した後にも発症しやすく、これは腸内細菌の変化や運動・知覚機能の過敏化が原因とされています。
過敏性腸症候群は腹痛や腹部の不快感、下痢や便秘などの便通異常を特徴とし、生命に直接影響はありませんが、日常生活の質(QOL)を著しく低下させる可能性があります。
発症のメカニズムは完全には解明されていませんが、ストレスホルモンの分泌や消化管運動の異常、生活習慣の乱れが関与しているとされています。
日本では成人の約14.2%がIBSを患っており、症状の程度は個人差があります。腸の過剰な動きや過敏な知覚は心理状態に影響され、ストレスや感情の変動が腹部の不調を引き起こすことが知られています。
また、腸に細菌やウイルスが感染すると、それをきっかけに過敏性腸症候群を発症することがよくあります。これは、感染後に免疫システムによって細菌やウイルスが排除された後、腸内細菌のバランスが崩れたり、弱い炎症が続いたりするためと考えられています。

下痢?腹痛?過敏性腸症候群の
症状チェック

  • 長期間にわたる腹部の不調や痛み
  • 下痢や便秘が数ヶ月続く、もしくは交互に続く
  • 排便後には痛みが和らぐ
  • 排便回数が不規則
  • 排便しても便が残っているように感じる
  • ストレスを感じると症状が悪化する傾向がある
  • 朝の便意で何度もトイレに行く必要がある
  • 外出時に便意をもよおすことへの不安がある
  • 便に血が混ざることもある
  • 体重減少
  • 夜間の腹痛で目覚めることがある
  • 便の形が悪い

上記の症状が見られる場合は、過敏性腸症候群の可能性があります。

過敏性腸症候群の検査・診断

過敏性腸症候群の検査・診断過敏性腸症候群であるかどうか、がんなど他の病気の可能性がないかを判断するために検査を行います。通常、最初に行われるのは血液検査や尿・便検査で、これにより炎症や貧血の可能性を評価します。これらの基本的な検査で異常が見つかった場合、大腸内視鏡検査や大腸造影検査が行われることがあります。
さらに、症状に応じて腹部CT検査や超音波検査も追加されることがあります。
これらの検査で他の病気が見つからず、症状が続く場合は、過敏性腸症候群としての適切な治療を始めます。

大腸カメラ検査について
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過敏性腸症候群の治し方

過敏性腸症候群(IBS)は完治が難しい病気ですが、生活習慣の改善や薬物療法により、症状をコントロールすることで生活の質を高めることが可能です。治療は患者様お一人おひとりの症状に合わせて対応いたします。

食習慣・生活習慣の改善
~朝ごはんを食べる習慣を~

過敏性腸症候群をコントロールするには、規則正しい食事と生活習慣が不可欠です。毎日3食を一定の時間に摂ることで、排便リズムを整えましょう。特に、朝食は大腸反射を促し、便意を誘発します。夜遅い食事は避け、食物繊維を含む食品や乳酸菌を積極的に摂取し、過度なカフェインやアルコール、脂っこい食品は控えましょう。
また、睡眠不足やストレスの軽減、禁煙もIBSの症状改善に有効です。適度な運動と良質な睡眠は、ストレスを減らし、腸の動きを促進し、全体的な健康を向上させます。
下痢型の方は水分補給を心がけ、胃に負担の少ない温かい飲み物を選ぶと良いでしょう。

薬物療法

症状の重さに応じて、腸の機能を調整する薬剤が用いられます。主に、整腸剤や便秘薬、下痢止めなどを使用しますが、不眠やストレスが原因の場合は、それらに対する薬物療法も有効です。
過敏性腸症候群は、食事や運動療法だけではすぐには改善しない場合もあり、日常生活に影響が出るほどの症状には薬物療法がお勧めできます。新しく開発された薬剤の中には、腸のセロトニンに作用して早期に症状を改善するものもあります。

過敏性腸症候群の方に
おすすめの食事

食物繊維が豊富な食品、例えばごぼう、こんにゃく、海藻、納豆、きのこ、バナナなどは積極的に摂取すると良いでしょう。ただし、過剰に摂取すると下痢や腹部膨満を引き起こす恐れがあるため、量には注意が必要です。

また、FODMAPとは、発酵しやすい糖類のグループで、オリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオールを含みます。欧米では、過敏性腸症候群の方が高FODMAP食品を避けることで症状の改善が見られることが報告されていますが、日本人における影響はまだ完全には明らかになっていません。

高FODMAP食品を完全に避けるのではなく、摂取量を調節し、症状が出た場合は次回から控えるなど、個々に合った食品を見つけることが重要です。栄養バランスを考慮した食事を心がけましょう。

高FODMAP食品

  • 小麦
  • タマネギ
  • ニンニク
  • 豆類(大豆、ひよこ豆など)
  • 乳製品(牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム)
  • ハチミツ
  • 果物(りんご、桃、スイカ)
  • 人工甘味料(ソルビトール、キシリトール)
  • きのこ類

低FODMAP食品

  • 米、玄米
  • 肉類
  • 魚介類
  • 豆腐
  • バナナ
  • ニンジン
  • ジャガイモ